ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」
2019年公演 観劇レポート プリンシパルキャスト編
原作:ウィリアム・シェイクスピア
作:ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出:小池修一郎
観劇日:3月2日、愛知公演古川回
見たキャストさんごとの感想です。
※SNSで投稿していた感想文に加筆修正を加え再投稿したものです。
ロミオ役
古川雄大 さん
10代の少年の溌剌さと憂いを感じさせる儚さの共存。
その表情、振る舞い、歌声は正にヴェローナの未来を憂い、真の愛情を夢見る等身大の心優しい少年の姿だった。
「♪僕は怖い」の歌詞にあるように、本当に古川ロミオには明日突然友だちが消えて世界が闇に沈む…というヴィジョンが見えていそう。
ジュリエットに恋に落ちる時の表情が本当にリアルで、その後も、恋ゆえに思わず笑みが零れてしまう演技がロミオの初々しさと純愛を的確に表現していて素敵。
ジュリエットを思う時の優しくて甘い声にヴェローナ中のジュリエット(観客)を泣かせました(は?)
エリザベート・ルドルフ役の時にも思ったけど、古川さんの死に誘われる演技が本当にお耽美で大好き。
凶器を見つけた時の目、毒薬を見つけた時の表情、そしていのちをたつ瞬間に見せる顔、誠に名状しがたい美しさ。すごい。
(丁度先日ご本人のラジオで古川さんが、いつもだいたい同じステージメイクで、「ぬるやつ」と「筆ペン」と「黒い塊」でメイクしていると仰ってたばかりなので最終日はやたらと顔面を凝視してしまいました。元の造形クオリティが違うんだよなぁ…)
拓郎さんロミオは残念ながら見れませんでした。
ジュリエット役
葵わかなさん
お声がとっても澄んでて綺麗。天使の歌声。
表情や仕草、爛漫な歌声が16歳のジュリエットそのもので、箱入り娘感が強く、憎しみという単語すら知らないのではと思うほどの純度。
多分わかなジュリエットは血が何色かも知らない(雑な喩え)
お歌が一音一音とても丁寧に歌っているような印象。古川ロミオとのデュエットで声の相性がとても良かったというか個人的に好きです。
わかなジュリエットはロミオと出会ってから自我が芽生え始めたような、そして恋を通して成長する自我を見守っているようなきもちになりました。
木下晴香さん
歌自体がすごく上手で、且つその歌からジュリエットの気持ちが沢山伝わってきて何度か泣きそうになった。
わかなジュリエットの天真爛漫箱入り娘感に対し、木下ジュリエットは自我が強めで女の子の強さを持っており、意志の強さを感じさせるジュリエット。
でも木下ちゃん自身の華奢さのせいか、手を掛ければ一瞬で散ってしまう一輪花のような繊細さもあった。
木下ジュリエットは元から自我が芽生えており、その後ロミオと出会ったことで自分の意思を強く実感して大切に生きようとしていたのかな、って思った。
ベンヴォーリオ役
三浦涼介さん・木村達成さん
2幕第三場、殺人という大罪を背負ったロミオを抱きしめ悲しみを分かち合い慰める姿、ロミオを”ヴェローナ(=制裁/罪/キャピュレット/大公)”から護ろうとする仕草が両者ともに素敵でした。
“ベンヴォーリオ”という役はおそらく登場人物の中で最も解釈や印象づけが難しく、なかなか言語化出来ません…笑
ですが、故に作中で最も奥が深く、最も解釈の余地があるキャラクターこそベンヴォーリオなのではないかと思います。
2幕第1場でロミオと向き合って歌うシーンがあまりにも好きすぎて4回全部泣きましたやめてください。
ベンヴォーリオはマーキューシオの死後とそれ以前で受ける印象も、彼自身の立ち回りもガラッと代わる。
その印象の変化を的確に演じ切った三浦さんも木村さんも本当にかっこよかったです。
ベンヴォーリオは役回りが可哀想すぎてキャストさんごとの解釈の差を見てる余裕がなくてダメでした。泣いちゃう。
若者の中で一人ぼっちに生き残ってしまったベンヴォーリオは何を活力にその後生きていくのだろう。
マーキューシオ役
平間壮一さん
平間マキュは完全に目が逝ってた。
かと思えばふと焦点が合って、マーキューシオの生まれ持った狂気を全身で表現されており鳥肌モノ。
天性の道化師。道化師という言葉は多分平間マキュのためにある。
普段の振る舞いからは道化と紙一重に虚無感を感じた。
その言葉では言い表せない虚無感の正体を私は探るのですが、とうとう核心に迫れぬまま彼は死にます。
最後までマーキューシオの本心を理解せず、理解させず死んでいく平間マキュの凄さ。
黒羽麻璃央さん
黒羽さんのマーキューシオは1度しか見られませんでしたが、それでも私の記憶にしっかりと爪痕を残していきました。
笑い声がまだ耳に残ってる。
黒羽さんは上品な立ち振る舞いをする役のイメージが強かったのでこんな役も出来るんだ!とびっくりしました。
黒羽マキュは壊れたピエロのように振る舞う反面、心に巣食う不器用な青年の寂寥感、的なものを強く感じた気がする。
ティボルト役
色々と対極的なティボルトでした。原題戯曲やLamb版(※戯曲を小説形に書き直した物)を読んだ時に私がイメージしたティボルトに近いのは大ちゃんの方でした。
いつキレるとも分からぬ凶暴な獅子、でも内心には漢の癒えぬ孤独と熱い恋心を抱え、それを一生懸命押し殺しながら一族の長への階段を上る姿。
ティボルトは本当にかっこいい。
渡辺大輔さん
渡辺ティボは感情のベクトルの変化。常に渡辺ティボの心の大海は荒れている。それはジュリエットを想う愛の荒波と、モンタギューへの憎しみの大波、そのふたつの波が彼の中で常に抗争して居るようなアツい男。
廣瀬友祐さん
廣瀬ティボの場合は潮の満ち干き。廣瀬ティボは幾分か冷静沈着な印象。だが、ある時はジュリエットへの気持ちで荒れ、また平静を取り戻し、またある時はモンタギューへの憎悪で荒れる。そんな冷静と激情が紙一重のティボルト。
まとめ:DVD販売嬉しすぎる
ロミジュリはDVDが出ないイメージだったので今回販売決定してとても嬉しかったですね。
ロミオ役の古川雄大さん、大野拓朗さんが共に30代になったということでおそらく今回で卒業じゃないかな〜と勘ぐっています。
ほんとに映像に残ってよかった…
古川さんは昔ジャズダンスとクラシックバレエをやっていたということもあり本当に身のこなしが美しく、劇中に出てくる「死」のバレエダンスと相性が本当に最高にバッチリでした。
なかなか踊りが多い役も多くないので、ロミオ並にがっつり踊る役は永久保存もの。
またDVD見ながらゆっくり感想書きたいなぁ
そんな感じの感想でした。
じゃあね!